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2012年度08月号

Desert Theatre その後、そして最後の2週間 by Y.U

 このNEWS LETEERが手元に届く頃にはもう日本に帰っている。その事実が信じられない。あれだけ不安であれだけ長いと感じて、あれだけ友だちを恋しがっていた留学前、そして留学前半の自分。そんな自分が今帰国を前にして悲しい。家族や友だちに会えるという期待。もちろんある。でも今はそれよりもここでできた素晴らしい仲間、先生、家族、町、文化にさよならを言わなければならないことの切なさ、寂しさの方が大きいのだ。でも同時にそんな気持ちになれるくらい充実した生活を送れた事が嬉しい。5月最後の月も毎日毎日が素敵だった。特に今月はDessert Theatreがあった。Dessert Theatreは今年度最後の大きなshowで、他の2つと違いSeniorが脚本から演出まですべてを監督する。通常はコメディでAuditionを受けて選ばれた生徒によって構成されるのだ。だから今回はいつもと違った顔ぶれでまた新しい友だちを作ることができた。また今回はSenior中心のというよりseniorのための舞台なので、今まで会ったことのないお兄さんお姉さん(笑)と仲良くなる事ができた。みんな、とてつもなく優しくて面白くて、私を15歳のようにかわいがってくれた。実際メンバーの大半は私をFreshmanだとカン違いしてた(笑)自分は今までコメディーをやった事がなかったのでどんなものかと思っていたが、やっぱり人を笑わせるのは難しい。だからこそ抜群のセンスを持った人達と一緒にいられる事は素晴らしい経験だった。また、笑いをとれるような英語の操作というのは非常に興味深かった。英語は日本語と全く違うなぁと改めて思った。どちらの言語もそれぞれ特徴があって、その特徴を生かして言葉を創る、面白い表現を創作するということが不思議で、また、何だか素敵だった。Showは大成功で異例のスタンディングオベーションまでもらった。これは私の最後のshowだったが本当に最高の舞台になった。  さてDessert Theatreはこれで終わりではない。舞台の後は…キャストパーティ!!!  車で郊外の友だちの家に行ってみんなで舞台の成功を祝ったのだが、それが最高の、最高の思い出になった。まず家がデカイ。いやデカイというより巨大。日本の一軒家が3軒合わさったようなお家でさらに庭はその家が豆に見える位広かった。ファンシーなプールもあり、何人かは冷える夜にも関わらず大ジャンプ(笑)結局3分でみなあきらめた(笑)その後は庭で火をたいてみんなで暖まった。マショマロとクラッカーとチョコレートでS\\\'moreつくったり、みんなで話したりして、ただただ幸せだった。国籍や言語の壁に隔たれず友だちという1つの絆で結ばれて、その場に違和感なく溶け込めている事実に、来て良かったと心の底から思えた。トランポリンや卓球も楽しんで、更にその家には先祖の眠る墓もあるというオドロキの事実も知ってとっても満足して帰った。  留学前はこんなに充実した生活を送れるとは正直思っていなかった。人と人とのつながりの大切さも過小評価していた。でもこの一年で沢山感じ、沢山知った。留学していなかったら…と考えると、この一年の経験がいかに重く、何にも変え難いものであることを強く実感する。こんなに幸せな人生を歩めていることに感謝感謝してもしきれない。ハリーポッターでいう“みぞの鏡”なるものに自分を映したら、絶対何も映らないだろう。なぜなら今自分は世界で一番幸せだからだ。あと2週間、たったの2週間だけれど毎日かみしめて、ふみしめて、最高のアメリカ生活の終章としたい。

留学生活を振り返って成果と反省、まとめ by Y.U

 この留学生活で得た物は何か。必ず聞かれるであろうこの質問に何と答えようかと、ずいぶん前から考えていた。ありきたりな事はやめよう、なぜならこの1年はもっと濃密で、1人1人違う独特な年であるはずだから、などと考えたりもしていた。しかし今振り返ってみると頭に浮かぶのは「勇気」、「友情」、「新しい観点」などいかにも留学パンフレットに載っていそうな言葉である。でも、この3つである事に疑問は持っていない。そして今、留学最後の月を迎えて気付いた。これらの言葉は「ありきたり」でもよくいう「キレイゴト」でもない。正真正銘本当の事だから、よく言われるのだろうと。留学して来た人はこの言葉の裏にそれぞれ違う特別な思い出を持っている。だから言葉は同じでも、その意味は一人一人違うのである。それを踏まえて私は私だけの経験、この留学生活を通して得た物について記したい。  まず「勇気」。この留学について将来思い返す時、必ず思いをはせるのはやはり留学を決める前、16年間の人生の中で最も重要な決断の一つを前にして思い悩んでいた時期のことだろう。今まで安定した、それなりに順風満帆な生活を送っていた自分にとって、留学は不安定な未知数の世界だった。規則的で安全なのほほんとした生活を好む自分は、その生活から踏み出す勇気がなかなか持てず、大いに悩んだ。すごく怖かった。でも留学は長い間思い描いていた夢の第一歩だった。ここで不安に負けてチャンスを逃したら、それは返っては来ない。それに、この先人生のどこかでまた新たなチャンスを前にした時、踏み出す勇気を失なってしまう気がした。今、留学を終えようとしているが、あの時の事は忘れない。近所の郵便ポストに出願書を投函した日、あの日得た勇気は確実に自分の宝物になると思う。 どの道に転んでも誠心誠意歩けば素敵な旅ができるという自信も湧いた。これはこれから歩む人生でもいつも心に留めておきたい。  さて、この留学を通して私を支え続けてくれたのはたくさんの「友人」の存在だ。 正直私は今まで友人を持つありがたさというものをあまり感じていなかった。もちろん友だちは大切だったけれど、家族のように彼らがいないと生きていけないという程ではなかった。しかし今回その家族から離れ、全く独りぼっちという経験をし、友だちの存在の大きさを実感した。前半は日本から送られてくる手紙を読みながら、ああ、こんなに自分は思われていたんだと知り、感謝の気持ちとどうやって恩返しをしようという考えでいっぱいになった。後半になると新しい友だちがぐんと増え、彼らと過ごす時間が楽しくてしようがなくなり人はこうやって支えられて生きて行くんだなと思うようになった。人はこうして時代を分かち合う同志と出会い、新しい家族を創りながら大人になるのだ。 素敵なことだと思った。  最後に「新しい観点」。新しい経験にはつきものだが、本当に今までとは全然違う真新しい物をたくさん見聞きし、今まで自分が思ってもみなかったような発見をたくさんした。態度と言葉の関連性や物の見方の違いは毎日いくら考えても飽きないくらい面白いものだった。また逆に、世界の反対側でも同じ人間なんだなぁと思う事も多々あり、そんな人の行動を観察、分析する事が楽しかった。今まで自分が思っていた以上に小さな世界で暮らしていたことを知り、すごく驚いた。  想像の限りでは思いうかばない、それこそ新しい次元まで考えの範囲が広がった。地平線の向こうには地平線という感じである。そして世界にはまだまだ知ることが沢山ある、こんなに沢山可能性と未来があると思うと、なんだかどんな悩みも解決できてしまう気がした。世界は広い、こんなに広いんだから、限りない希望がある。転んでもただでは起きない、だから好きな事、自分が求めるものに向かって、楽しく進んで行けばいいのさ、と思えるようになった。  「心を耕す」という言葉が好きだ。この一年、全ての経験が土を更に良いものにしてくれた。これからもキラキラ輝く経験を肥料にし、思考という鍬で人生を耕して味の深い、果実を実らせていきたい。支えてくれた全ての人に感謝しつつこの留学を締めくくりたいと思う。

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