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2011年5月号より

1999年度生 久保 健一郎

2009年3月東北大学歯学部卒業 歯科医師
ボストン コンサルティング グループ勤務

本当に自分が欲しい事を追求する

 初めまして。IF99年度生の久保健一郎と申します。振り返るとIF留学から10年以上が経っております。ただ、時間を重ねたからこそ見えてきた事があるので、読んでいただいている皆さんと共有したいと思います。
 まず、初めに軽く自己紹介をします。上の経歴を見て頂いた方は、もしかしたら気付いたかもしれないですが、歯学部を卒業し免許も取っておきながら歯科医師にはならず、経営コンサルティングの会社で働いています。他の人から見たら、「変な人」としか思われないような人生を歩んでいますが、日々の生活は充実しているし、歯学部を選んだ事も歯科医師として働いていない事も良かったなと心から思っています。そんなちょっと変わった人生だけれど、「他の誰か」が良いと思う人生ではなくて、「自分」が楽しいと思える生き方を追求できるようになった事は、アメリカ留学のおかげだと考えています。
 留学前の自分と比較すると「楽しいと感じる事を自分の意思で選ぶ事」ができるようになった事が、大きな変化だと思っています。
 まず、留学する前の自分について少し話させてください。留学前の自分は特に目的もなく、何かに熱中するという事もなく生活をしていました。留学も、姉もIFで留学をしていた事や、なんとなく英語ができると格好良いかなぁと思っていた程度で、正直合格したことが驚きだと思っています。
 そんな自分を変えてくれたものは、アメリカでの友人達との会話でした。ちょうど、留学をしてから数ヶ月した時に、将来何をやりたいのかという話題になり、私は「いやー、適当な大学に入って、就職かなぁ」と答えたら、友人達は「アーミーで稼いだ後、大学に行って、起業をする」とか、「Webアーキテクチャーになるために、まずは専門学校に行く」とかなり具体的に答えが返ってきた事が当時の自分にとっては印象的でした。もちろん、日本にもそういう人が多いかと思いますが、留学をした事で多くの機会に恵まれたと思っています。また、留学中の日々の生活の中で、「日本人としてどう思うのか?」といった事を何度も何度も繰り返し問われるうちに、自分を作り上げる機会を得られました。
 ここが、私の考える高校生で留学する事の一番の価値だと思っています。小学生のようにそれほど「自分」の形成が足りない訳ではないし、大学生のようにある程度「自分」が固まりきっている訳でないというタイミングで留学する事には、大きな変化があると思います。
 さて、冒頭で話したちょっと変わった人生の選択をもう少しだけ深く振り返ってみようと思います。留学から帰ってきた私ですが、日米の友人達と将来について話すうちに、人がマイナスな状況になっている状態(病気とか)を改善したい、でも命を直接頻繁に扱うような仕事はしたくないという自分に気付き、ちょうど間にある歯科医師を仕事として選びました。その後、大学在学中にひょんな事から参加した外資系メーカーのインターンで、ビジネスの面白さに気付く事になります。結果、卒業後の勤務先は命には直接関わらないものの、人のマイナスな状態の改善に貢献できて面白いと思える、ビジネスの力を伸ばせる経営コンサルティングの会社になりました。一見ちぐはぐな人生を歩いているようですが、その時々「自分が楽しいと感じる事」を選んできています。そして、これからも自分が何を楽しいと感じるかは変化していくけれども、自分に対して正直に生きていく事は変わらないでしょう。
 もし留学をしていなかったとしたら、きっと「自分」が楽しいと感じる事ではなく、「誰か」が良いと言っていた事を選んでいた事ではないかと思っています。
 最後にこれから留学に行く方や、今まさに留学をしている方にメッセージがあります。自分をどう作るかなんて何年か経って考えた所詮は結果論だと思っています。それよりも、今自分が一番わくわくできる事、全身全霊を掛けてがんばれる事、今やらないと死ぬ直前に後悔する事を、悔いが残らないようにやり抜いて下さい。誰かが良いと思うものではなく、自分自身が良いと思うものを実行していって下さい。そうする事で、結果的に頑張った事が点となって将来の点とつながり、線になり、自分自身の軸が形成されていくと思います。

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