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2011年8月号より

2000年度生 伊勢呂 哲也

東京学芸大学付属高校より Kentucky州 Prestonsburgに留学
名古屋大学医学部医学科卒業
JA愛知厚生連豊田厚生病院にて2年間初期研修医として勤務
現在同病院の腎臓泌尿器外科所属

留学が残した爪跡

 皆さんこんにちは。  
 News Letterの巻頭言という光栄な任務を私に任せていただいたIFの石月さんに深く感謝申し上げます。  
 まず私が留学する事になったきっかけからお話します。  
 私は小学校、中学校と受験生活を送り、高校でも同じような勉強漬けの生活からの大学受験を迎えるつもりでした。留学を希望したのはそんな生活に嫌気がさし、1年間異国で受験から離れ、自由に全く違う生活をしたいと思ったことでした。  
 IFの試験に合格し、とんとん拍子にホームステイ先が決まり、自分の英語力に不安を抱えながら胸を躍らせてアメリカに行くと、僕にとって良い意味で非日常な毎日がはじまりました。ホームステイ先はゴルフの練習場の経営者で、毎日のようにゴルフの練習をすることができました。朝はスクールバスに揺られながら通い、毎日のようにジャンクフードを食べ、週末は友人の家でパーティー、と勉強ばかりしていた私にとって新鮮で日本にいては味わえない時間を過ごしていました。  
 充実した生活を送る上で、やはり大切なのは友達です。僕は日本にいるときからスポーツが大好きであったため、シーズン毎のスポーツはチームに必ず所属するようにしました。秋はアメフト、冬はレスリング、春はテニスに所属していました。スポーツに国境はないというのはありきたりな言葉ですが、やはりスポーツを通じて友人になれるということは、言語、人種の壁を感じる最初の頃にとって非常にありがたいことでした。これから留学を予定している方々にも何らかのチームに参加する事をお勧めします。  
 さらに私にとって幸運なことに、同じホームステイ先にメキシコからのIF留学生の男の子が来ていました。メキシコは英語と類似しているスペイン語が公用語であるため、彼は英語力が常に私より優れていましたが、親身になって英語力の向上のために力を貸してくれ、彼と話すことが僕の留学での大半の時間を占めるようになりました。今でもメキシコ在住の彼とはE-mailで連絡を取っています。  
 私がアメリカに留学をしたことで変わったことは、自分の意見をはっきり言えるようになったこと、細かいことをあまり気にしなくなったこと(性格がおおざっぱになった)、素晴らしい医師に出会えたことで医師を志すことになったこと、です。前者2つに関しては僕が日本に帰って来て、周囲の人に心配されてしまうこともしばしばありますが、自分ではアメリカで得た価値観がとても気に入っています。まさにアメリカナイズされてしまったんです(笑)  
 そして何より、自分の将来を決める人に出会えたということが非常に大きなことでした。その医師はテニスをしており、幼少の頃から嗜んだテニスを通じて知り合い、仕事場を見せていただきました。いろいろな関わりを通じてその人の素晴らしさに触れ、この人のようになりたいなと思ったのが医師を目指したきっかけでした。私は留学をして人生が良い方向に変わったのだと確信しています。  
 現在は腎臓泌尿器外科の若手として働いています。  
 医師の進路を選択するにあたって、大まかな選択肢がまず二つあります。それは外科系か内科系のどちらの医師になるかということです。内科という科は基本的に患者さんの病気を診断してそれに対する薬を出すのが日常の行為です。わかりやすく言えば、風邪をひいたから風邪薬を処方することや血圧が高い人には降圧薬を処方するなどです。一方、外科系の科というのは基本的に自分で器械を操作して患者さんの体を治すところです。胃癌があるので胃を切除することや、俗に言う美容整形も外科系に分類されます。内科は非常に大事な科で、なくてはならない科ではあります。しかし私としては自分の手で直接手を施す外科の魅力にすっかり魅せられてしまいました。  
 偉そうなことを書いてしまいましたが、私は日々臨床の中で、色々な壁にぶつかる毎日です。オペという非日常的な経験をさせていただきながら患者さんと毎日触れ合うことに喜び楽しみを見い出しています。  
 是非みなさまお暇があれば豊田まで遊びに来て下さい。私が住んでいる豊田は若い人が遊ぶような場所はありませんが、雄大な自然に触れることができる素晴らしい場所だと自負しております。 ちなみに英語はすっかり話せなくなってしまいましたが、1人前の医師になれたら海外で医療行為ができたらなとも考えています。  
 IF留学をした先輩、後輩の皆様は様々な分野でご活躍をされているとお聞きしています。きっと留学がターニングポイントになった方がほとんどではないでしょうか。長い人生の中でたったの一年間ですが、高校生のときのその時間は将来かけがえのないものになるのではないかと思います。  
 これから留学を考えている学生のみなさん、ぜひIFを通じて素晴らしい体験をしてIFファミリーの一員になりましょう。  
 私にこのような貴重な体験をさせて下さったIFスタッフの方々に心より感謝申し上げます。

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