2024年5月号より
1981年度生 アマンりか(具志堅)
私立熊本信愛女学院高校からカンザス州 Belleville High School に留学。
ユタ州Brigham Young University 卒業後、CITI CORP 東京支社勤務、University of Houston 日本語講師を経て、現在クラシカルバレエ・ダンスコンサルティング・エージェンシーの TUTU STUDIO, LLC 代表。
When Life Gives You Lemons, Make Lemonade
沖縄が米国統治下という中で育った私は、英語環境が身近にあった。米国の大学で学んだ叔父たちもおり、「留学」はあまり珍しく感じなかった。高校1年の1学期、校内に貼られているIFの留学生募集ポスターを目にした。「合格すれば留学は許可する」と両親に言われ、即申し込んだ。合格通知が来たときは、心から喜んだ。
ホームスティ先の同い年のホストシスターから初めて手紙が届いた時は嬉しかった。自分はFRENCH CLUB の部長をしていること、日本で「フランス語会話同好会」に所属している私が来るのを楽しみにしていることなどが書かれていたが、最初の一文がフランス語だったのには驚いた。出発までお互いに手紙でのやり取りが続き、会うのがどんどん楽しみになっていた。
私の留学先はNEBRASKA 州の州境近くにあるKANSAS州の小さな田舎町、私の学年SENIORの生徒数は75人。周りの学生達があまりに大人っぽいのにはビックリした。当時はインターネットもなく、なかなか状況が掴めないまま始まったアメリカでの新しい生活は、毎日が驚きの連続だった。学校ではテニス部、バスケ部、美術部等で活動、友達もたくさんでき、生活を満喫できた。ただ、私とフランス語を話したかったホストシスター。彼女との接点がない状況が不愉快だったらしい。徐々にわだかまりが募り、2か月後にはホストチェンジすることになった。次のホストは町の新聞社を経営するファミリー。年下のホストシスターは、学校でも人気者のチアリーダーで、パーティ―など色々誘ってくれて週末も楽しく過ごせたが、彼女のトラブルに巻き込まれ、残念ながらお正月には、また別のファミリーへ移動した。最後の半年を過ごしたファミリーでは、ホストファザーは出張が多く家にほとんど不在、子供たちも皆大学生のため家にいない環境だったが、高学歴で小学校の先生をしていたホストマザーと仲良く一緒に食事を作ったり、勉強を見て貰ったりした。最初のホストシスターとも和解し、最後まで充実した毎日を送ることが出来た。今でもホストファミリーとは密に交流を取っている。様々な家族との生活を共にすることで、学べたことは大変貴重な経験になった。
留学中、英語で日本の紹介をしたことがきっかけとなり、大学生の時に日本語講師資格を取得。東京ではCITI CORP東京支社に勤務、医大でのMESS(Medical English Speaking Society)英語講師を務める機会にも恵まれた。ユタ州にあるBrigham Young University での留学時代のルームメートの兄とのご縁で国際結婚。夫の転勤に伴いHoustonの移転。子育しながら日米企業間での通訳/翻訳、また日本語講師/英語講師、ヒューストン大学では日本語の教鞭をとる機会も得られた。
娘がバレエを真剣に学ぶのを機に、バレエスクールにて理事会メンバーになった。昔かじっていたバレエでもあったので、友人知人には多くの元有名バレーダンサーがいた。娘がバレエの寄宿学校から奨学金で特待生招待を受け州外に寄宿することになった際、寄宿学校に日本から来た留学生のサポートをすることが増えたことをきっかけに、クラシカルバレエ・ダンスコンサルティング・エージェンシーを起業。日本人以外のバレエ学生/プロバレエダンサー/振付家/バレエマスターのマッチングレッスン、ワークショップ企画、コンク―ル運営、ガラ公演の企画/運営、日本人高校生のバレエ留学アシスト/サポートなど、自分自身が留学生だった経験を活かし、グローバルに活動している。
IFを通し留学生活があったからこそ、今の私はある。そこから得た多くの学びと経験が私の様々な出会いや職種に導いてくれた。本部スタッフには色々とホストファミリーとの相談に乗って頂き、その度に対応してくれたことに感謝しきれない。私なりの恩返しのつもりで本部とやり取りし、過去に3回 IFの後輩にホストファミリーを紹介させてもらった。
留学経験は人それぞれ違うもの。貴重な自分発掘の時間になるのではとも思う。個々人に学びがあり、人種、宗教、文化、国境を越え、自分の知る常識や価値観は他人とは違うと気づかされる。そこからの成長が次の扉を開いてくれる。多感な時期の海外留学は人を大きく成長させ、それは将来の糧となるであろう。今後、何年か何十年か後に、皆さんが経験した(もしくは、これから経験していく)高校留学が、それぞれの人生に、どのように影響をもたらすか楽しみだ。これからの皆さんの人生が豊かであることを願ってやまない。